雨が降り
光がさして
湯気昇る
今月のテーマは悲秋を超えて、だ。
偉大な父の志を継いでと言うタイトルに始まる髙江理事長と森田社長の対談記事の感想を書こう。
お二人の対談に出てくる、創業者のお父様の生き様にはまさに『悲秋を超えて』の並々ならぬ、死を覚悟した生き様が伺える。
生き様というのは本当に不思議なもので、どう考えても自分なら速攻に諦めてしまいそうな、この世から離れてしまいそうな局面から、一念発起し立ち上がった方々の力強い、気迫みなぎる物語は、それに触れるものの心を打つ。
この世界は、自分の知らない伝説が作り出していると思うと、探検に出たくなるようだ。
お二人の対談に好信楽という言葉が出てくる。
これは本居宣長の言葉で、何かを成し遂げるためには、まず自分自身がそれを好きでなければうまくいかない。そして、揺るぎない信念があれば事は成就する。しかし大事なのは、楽しみながら取り組む心の余裕だ。という意味だそうだ。
創業者の思いに触れて、自分は何を成し遂げたいのか?と自問する。そして、好きになる。そして、楽しむ。さて、自分にはそんな心の余裕はあるだろうか?
自分ごとながら、先日7/30に地元京都・丹後に帰り、祭で神輿を担ぎ、結婚式依頼、約半年ぶりに父にあった。
私と父との関係についての詳細は省くが
今回、父に相対するにあたり、今まで私の心のうちにあった、罪悪感、悲壮感、憤りなどがすっかり消えていて、また同時に諦めずに動き続けている父に対する尊敬と育ててくれた感謝が素直に現れていたように思う。
ただいまーと玄関を開ける。
初めは(おぅ)とだけ渋い顔で返事をした父だったが、
居間に上がるとコーヒー飲むか?と聞いてくれた。出てきたのはエスプレッソだった。
少しばかり今後の話をしたのち
工場と田畑を案内してくれて、塩の沢山振られた冷えたスイカを食った。
籠神社に一緒にお参りに行き、手を合わせ、2人で写真を撮った。
別れ際には固く握手をして、手を振った。
ミラー越しにチラリと見る父の顔は笑顔だったように思う。
ここに至るまでに、見たくないものも見たし、納得のいかないこともままあった。死のうとは思わなかったが、希望が薄い時もあった。
だが、この日をもってして、己の心のわだかまりに決着をつける事が出来たように思う。
悲秋を超えて。
雨が降り
光がさして
湯気昇る
世界は喜びと
希望に満ちている。
玄氣-GENKI-